協議離婚
離婚のおよそ90%は、夫婦間の話し合いで決める協議離婚です。未成年の子がいるときは必ず親権者を決め、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料等について話し合い、合意した内容を離婚協議書として作成することが必要です。合意内容が明確に書面として残りますし、法的効力もあるからです。
しかし、養育費のように分割での支払いを約束しても、将来支払いが滞った場合を考えると不安です。何度催促しても支払わないケースは多いと聞きます。泣き寝入りしたくないときは、支払いを求めて調停を申立てる、或はいきなり裁判を起こすことになりますが、費用や時間が掛かってしまいます。
そこで、「養育費の支払いを子が○○歳になるまで分割して月々○○円支払う」との取り決めを夫婦間で行った場合は、公正証書作成をお勧めします。そして「支払いが○ヶ月滞ったときは、強制執行されても容認します。」という意味合いの一文を入れることで、調停や裁判なしで強制執行ができるのです。主なものに給与の差し押さえがあります。
親権者
未成年の子どもがいる場合、夫婦のどちらかを親権者と決めなければ離婚はできません。親権とは子どもを養育・保護し、子どもの財産管理や法律行為を行うことです。
親権者=監護者(子どもの身の回りの世話や教育をする)と思われがちですが、必ずしもそうではありません。親権者は父親でも、母親が監護者となって幼い子どもと一緒に暮らすこともできなくはないのです。
養育費
子どもを養い、育てる上で必要な養育費は、子どもと生活を共にしていない方の親が支払います。一般的には子どもが成人するまでのケースが多く、月々の分割払いが通常です。それまで子どもに掛かった費用を参考に今後の見通しを立て、お互いの収入や財産を考慮して金額を決めるわけですが、その目安となる「養育費算定表」を家庭裁判所が作成しています。ネット上で見ることができます。
面会交流権
離婚後、子どもを養育・監護していない方の親が、子どもと面会などを行うことができる権利です。頻度、時間、面会場所など具体的に決めておくことが大切かと思います。その際、子どもの気持ちや健康面などへの考慮が重要です。
財産分与
婚姻中、夫婦が協力して築き上げた財産をその貢献度に応じて、分配することです。最近では、原則2分の1ずつの分配割合となっていますので、特別な事情がないのであれば専業主婦の方も財産の半分を請求すべきかと思います。
財産分与の対象
現金、預金、有価証券、不動産、自動車、掛け捨てでない生命保険、
(近い将来受取りが確実な)退職金、借金
財産分与の対象外
結婚前から所有していた財産、相続により得た財産
慰謝料
離婚により必ず発生するものではありません。不倫や暴力、ギャンブルなど離婚の原因を作った方が、もう一方の被った精神的苦痛に対して支払うものです。
精神的苦痛の程度や婚姻期間、各種事情などで金額を決めることになります。
裁判所の調停での相場は50万円~300万円とも言われているようです。離婚後でも3年間は慰謝料請求が可能です。
年金分割
平成19年4月から年金分割制度が始まりました。専業主婦の場合、サラリーマンの夫が婚姻期間中に加入していた厚生年金(報酬比例部分)の最大2分の1まで按分してもらうことができます。按分割合は原則夫婦間の話し合いで決めますが、平成20年4月1日以降の按分割合に関しては自動的に2分の1となるので、それ以前の婚姻期間についてのみ決めることになります。
公正証書とは?
公正証書とは法務大臣が任命する公証人(元裁判官や弁護士等)が作成する公文書で、裁判の確定判決と同じように極めて強力な証拠力を持つものです。文中に「強制執行ができる」旨の一文を入れることで、相手方が金銭の支払いを行わない場合、強制執行として給与や不動産などの財産を差し押さえ、金銭等を取り立てることができます。
公正証書の作成
<事前準備>
ご夫婦で話し合い、取り決めた事柄を行政書士にお伝えいただきます。行政書士は内容を確認し、修正点や追加した方が良い事柄などをご提案しますので、ご夫婦で協議してください。最終的に合意された事柄を離婚協議書としてまとめ、公証役場と公正証書作成についての準備を行います。並行して、戸籍謄本など必要書類のご用意をしていただきます。
<作成日当日>
当日、公証役場へはご夫婦で行かれることが望ましいのですが、いろいろとご事情がありますので、ご依頼者様と行政書士(配偶者の代理人として)で行くことも可能です。当事務所は通常、所沢、浦和、川越の公証役場を利用させて頂きます。
<公証役場での費用>
公正証書作成費用ですが、養育費や財産分与等の金額を基に決まります。
(例)養育費月額4万円を15年間 慰謝料100万円
手数料は、1万6千円 (その他文書料が若干かかります)
養育費の未払いによる給与の差し押さえとは?
法律で、給与(税金や社会保険料を控除した残額)の2分の1までが差し押さえの対象です。(残額が66万円を超えない場合)
仮に、未払いの養育費が累計60万円あり、税金等を控除した給与の残額が20万円の場合では、1か月で差し押さえできる金額は10万円です。60万円に達するまで、毎月10万円が相手の所属する会社からあなたに支払われることになります。(相手がその会社で勤務を続けていることが前提です。)